お姉ちゃんの言うことにゃ

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お姉ちゃんの言うことにゃ

 お弁当を届けたら、みどり姉は「助かった! サンキュ!」と、私の頭をわしゃわしゃとかきまわした。 「わっ! ぐちゃぐちゃになるじゃん!」  文句を言って、撫でつけ整えると、「いや大して変わってないかんね?」と、呆れられた。  ちょうどいいタイミングで休憩時間になったようで、みどり姉はタオルで汗を拭きつつ、私のそばから動かない。他の部員の人たちは、お互いにおしゃべりに興じている。 「ねぇ、なんかあった? 顔赤いけど」 「えっ」  ぺちぺちとほっぺたを叩いて、「なんもないよ!」と、ごまかす。  けれどそこはしっかり者の姉。横目でじとっと私のことを見てくる。その鋭い視線に耐えられず、「知らなかったらそれでいいんだけどさぁ」と、なんでもないことのように、おどけて聞いた。 「サッカー部のレギュラーで、爽やかなイケメン知ってる?」 「サッカー部ぅ?」 「そう。えっと、髪の毛ちょっと茶色くて、さらさらで、笑うとえくぼができる人。あ、あと八重歯だった!」  我ながら、あの短時間で観察できたもんだわ。  それでもまあ、サッカー部は大所帯だし、みどり姉はあんまり男子のこと好きじゃない。興味のない相手に使う労力は全部無駄、という人なので、知らないって言われるかと思った。  けれど、私の予想とは違って、すぐに答えをはじき出した。それだけ有名人ってことなんだろう。
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