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「俺はずっと、あの日からこの列車に乗って……旅をしながら、みんなを見守っていた。母さんや父さん、弟妹たち。クラスメイトや親しかった友人たち。そして勿論、君のことも」
――――みんな、幸せそうで良かった。
自分の周囲の人たちの幸せを第一に考える。満足そうに微笑んでいる彼は、そういう人だった。
だからみんなに愛されていたし、失われてみんな酷く悲しんだ。
「本当に、勝手な人……」
そんな貴方だから、好きだった。
「うん、ごめんね」
そしてこの人も、多分私のことが好きだった。
「置いて逝ってしまって、待たせてしまった分。お詫びも兼ねて、これから俺と旅をしない?」
「旅って、この列車で?」
「そうさ。これからは、ずっと一緒だよ」
まるでかの物語のような台詞に、私はくすりと笑って。
「それなら――何処までも、何処までも、一緒に行きましょう」
ポゥーーッと汽笛が鳴り響いて、私達は銀河の彼方へ旅立って行った。
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