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男になっただけでも非常事態なのに、体まで貸せと…!
無茶苦茶言うね??この使い魔さん…
……や、でも、つまり優李くんとデート出来る…必然的に仲良くなれると!
考えようによっては凄いラッキーが過ぎるじゃん!
なんて考えに思い至ってルンルンしながら部屋に戻って、現実に引き戻された。
室内に同室の…確か豊って子。
これから寮生活しなきゃなんだ!!
しかも男子寮だから男子と同室!!!
今までそれなりに彼氏も居て、オリンピックの代表に決まる前に付き合ってた彼氏にはプロポーズもされたけど、結婚ってまだしっくりこなくて、断って別れて、その後オリンピックの代表決まってから恋愛どころじゃなくてずっとフリー…
とは言え男の子に耐性が無いわけじゃないから…まぁなんとかなるか…多分…
出て来る時にわけが分からずやらかしたので、ちょっとドキドキしながら戻ったけど、豊は帰って来た俺に
「どう?道覚えられそう?」
と、何事も無かったかの様に言った。
…いや、本当に何事も無かった事になったんだ…
ナツさん凄い…!
「う〜ん、寮から学校くらいは取り敢えず?」
嘘です。一切寮や学校周り歩いてません。全く分からん。
取り敢えず帰って来たはいいけど、何気にまだ昼過ぎ。
何が何だか俺は勿論、ナツさんもしっかり分かってなかったので、豊との会話でボロが出る前にもう一度外に出ておく事にした。
「そう言えば歩き回って昼食べそびれたし、実家に電話しなきゃだからもう1回外でて来る」
って話で。
暇そうだった豊も一緒に来ようとしたけど、それだと意味が無いので「多分電話長くなるから」って間髪入れずに出てきちゃったのは…あんまり感じ良くはなかったかな〜…
再度寮を出た所でナツさんは、状況をしっかり確認してくるから適当にどっかで時間潰ししてろと、多分どこかに行った。
ちょっと思ってたけど、あの人、桜井さん居なくなったら途端に口調が偉そうなんですが…
まぁいいけど。
一先ず適当に外を歩く。
確か清蘭って、小金井市と国分寺市の間くらいの所に在った筈。有名な進学校だから、そのくらいは知ってる。
大学の時の仲の良い友達が清蘭出身だったので尚更。
清蘭は昔は男子校と女子校で分かれてたけど、10年ちょっと前から共学になったんだよね。
それはまぁさて置き、この辺全く土地勘が無い場所だけど、どこかしらにファミレスなりカフェなり有るっしょ。
歩いている間に、本当に実家に電話してみた。
出てくれたのはお母さん。
俺の両親は、父が日本人、母はイギリス人。
だけど、母は日本語がとても流暢。
『陽太、どうしたの?』
電話に出てくれて第一声がそれでドキッとした。
お母さんまで、本当に“陽太”って…
「あ、えっと…お母さん?今日桜井さんってもう来てる?」
『来てないの。今日は急用で来られなくなったんですって』
「え、そうなんだ?」
知ってるけど。何話したらいいか分からなかったから取り敢えずな話題。
『帰ってくるつもりだった?』
「うん、桜井さん来てるなら、と思ったんだけど…
来てないならいいや」
『そう。寮の生活はどう?』
「まだ慣れない。変な感じ」
『そうよね、他人と共同生活だものね』
や、色々それ以前の問題だけどね…
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