119人が本棚に入れています
本棚に追加
結局その後もナツさんはずーっと黙りで、遅くもなったので帰りは山内先生が寮まで車で送ってくれた。
その車を降りたタイミングで、ナツさんもいつも通り居なくなったけど…
ちょっと真剣に考えてみる。
マジでなんでナツさんは嘘吐いてまで俺の意識を残してデートしてるのか…
山内先生が言ってたし、俺も思ってはいたけど…多分ナツさんの本命は真くんなんだよ。
だけど恐らく優李くんの事も好きで、優李くんの方がナツさんの事が大好きで…
…ナツさん、やたら俺に優李くん勧めてきたり、デート中の可愛い優李くんを見てる様に促してきたり、優李くん以外の恋人作るの禁止とか言ってる時点で…
あの人、まさか自分と顔の似てる俺に優李くん好きにならせて、俺自身を優李くんと付き合わせようとしてるんじゃ…
体貸してるのは今だけで、最終的に俺と優李くんが普通に付き合うようにって目論んでない?
優李くんの事も好きだから、自分が付き合わないでも優李くんが幸せになれるように、優李くんが好みな顔の俺が充てがわれてるだけなんじゃ!?
だとしたら馬鹿か?あの人??
どう考えてもそんなの上手くいく筈無い話なのに、なんだかそれが一番腑に落ちてしまう。
優李くんの事は1ファンとして大好きだけど、付き合う付き合わないはやっぱ別だよ。
やっぱり、俺関係無しに優李くんの事をちゃんと好きになってくれる人に委ねるか、ナツさん自身がちゃんと優李くんを好きになって、桜井さん達神様に直談判するしかないって…
それとも、優李くんがナツさんと顔が似てる奴じゃなきゃ嫌だとでも言ってるのかなぁ?
そこ直接聞きたいんだけど、優李くんと俺が直接話せる事って先ず無いし、連絡先すら知らないもんな〜…
なんとなくモヤモヤしつつ、取り敢えず季更さんに幽霊が凄くハッキリ視える様になってしまった事をLINEで送ったら、色々済ませて寝ようと思ってた間際に、凄く驚かれた返事が帰って来た。
やっぱり季更さんが思ってたよりも俺が霊感強くなるスピードが早くて、季更さんも申し訳無さそうなのと同時に、流石に不思議そう。
元々素質も有ったって事かな?と。
そして「俺のせいでごめん…」と凄く謝られたのが本当に申し訳無くて…
実は1ミリも季更さんのせいじゃなかった…
俺が使い魔さんと変な契約しちゃってたせいで…
…でもあれが無かったら、俺今頃生きてなかったわけだし…
なんかもう、季更さんに申し訳無いって思わせてしまってる事が申し訳無い。
いっその事、季更さんにこの状況を全部正直に説明しようか?
季更さん、霊感強いだけじゃなくて、悪魔とかそういうの分かる感じの事を、オフ会の時にグリ見ながら言ってたから、もしかしたら使い魔とか式神の事も視えてて知ってるのかもだし…
だから、俺が実は元女だった事とか、契約の事とか、体を貸して優李くんとデートしてる事とか、全部正直に話しちゃっても、季更さんならなんとなく普通に信じてくれそうな気がする。
……でも…
それを季更さんに知らせてしまうと、ナツさんが俺と優李くんをくっ付けようとしてるなら、更にナツさんの思惑から外れちゃって、完全に使えない奴って見放されて、万が一契約強制解除されたら、俺死ぬんだよ……な…?
と思うと、やっぱりナツさんが優李くんに本気になってもらえない内に、馬鹿正直に季更さんに話しちゃうのは得策じゃない。
最初のコメントを投稿しよう!