異変

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直ぐに母親が出たので、早々に用件を。 言いたかった話は、週末もう1人バイトを取らないかって話。 陽太の1つ前の契約者が、高校生の時は千葉に住んでたけど、大学生になって東京で一人暮らしをしているので、そいつに和菓子屋でバイトしないかって話は既にしてあって、勿論了承も得てる。 だから知り合いの大学生がって事にして、その事を伝えたら、「それはとっても助かる!」と。 よし、じゃあバイトの事はこれでOK。 陽太が芸能活動しだせば週末実家を手伝えないかもしれないし、手伝える時も、店頭に居ないで厨房を手伝い易くなるだろうし。 バイトの話の後、芸能界入りの話をついでにしようと思ったら、母親が先に別の話題を持ち出してきた。 『そうそう!今日閉店後に丁度連絡が有って、これから陽太にLINEしようと思ってたところなんだけど、テレビ番組で、“イケメン過ぎる店員が居る和菓子屋”って取材させて欲しいんですって』 「え…」 へ〜wなんてお誂え向きな。面白いw 「いいよ、取材」 『そう…と言うか、お父さんが陽太の返事聞く前にOKしちゃったから、嫌でも受けてもらわなきゃだったから良かったわ〜…』 「大丈夫」 寧ろ全然好都合w その流れで、実はスカウトを受けてて芸能界に入りたいんだという話をして、両親の同意も得て、今月中に事務所との話が出来そうな日を教えてもらった。 全ての電話が終わってから、豊に「もう寝る」と断りを入れて陽太の体を出た。 意識を落とされてた陽太はそのまま寝ている。 芸能界云々以前に、イケメン店員として紹介されるテレビに出るって事、高城は嫌がるだろうなぁww 当日まで陽太に黙っておこうw 芸能界入りは、果たして止められるか、このまままた様子見をされるか… ______ 翌日になっても、相変わらず寮の外に出れば幽霊だらけ。 本っっ当寮快適だよ。寮から出ないでいいなら出たくないくらい。 そして何事も無かったかのようにナツさんは戻って来たし。 山内先生のお陰で嘘がバレて何か言ってくるかな?と思ったけど、一切それに触れる気は無いらしい。 本当に何考えてるやら… この日学校に行ったら、俺が登校して来たのを見計らったかの様に、なんと優李くんが単独で俺の教室まで来た。 突然の優李くん登場にザワ付き、女子から黄色い悲鳴が上がる教室内。 優李くんは俺を見付けると、とっても嬉しそうに此方に駆け寄って来て 「陽太先輩、おはよー!」 と、俺に飛び付いた。そして更に上がる悲鳴。 待って!俺今ナツさんじゃないよっ?どういう状況? 取り敢えず冷静に優李くんを自分から離す。 何度もデート見せ付けられてるお陰で、思いの外自分が優李くんに慣れてた。 「おはよう。え、何?急に?」 「クッww陽太先輩クールww」 「ちょっちょっちょっ!陽太!優李くんじゃん!!」 「何そんな冷静に対応してるの!?」 「どういう知り合い!?」 でも周りは完全にパニック。 優李くんが返事をした。 「前から桜井社長が陽太先輩の家に和菓子作り教わりに行ってて、その関係で知り合って仲良くなったんですよ〜」 「へー!」 「そうだったんだ!」 「ちょっと…!優李くんとヒナちゃんが仲良しって…えっちょっ…最強過ぎない!?」 「本当だよ!なんでもっと早く友達だって言わないの!」 「いや…」 俺自身が知り合いな訳じゃ無いし…寧ろ俺が直接会話するの、今回で2回目… とは言えないので… 「転校生が優李と友達とか、ブッ殺案件じゃないかと…」 「呼び捨て!」 「ヒナちゃんなら許されるよ!寧ろWelcomeだよ!?」
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