119人が本棚に入れています
本棚に追加
車内でこの間陽太先輩と撮った大量の写真をスマホで見てたら、稔が怪訝そうに話を振ってきた。
「あの先輩、本当に芸能界入りするつもりなら、業界で先輩の優李への接し方、しっかり教えといた方がいいんじゃねぇの?」
やっぱそう思うか…
そもそも、そうじゃなくても稔も輝希も数馬も、陽太先輩に対する目は厳しかった。
陽太先輩にいきなりファンクラブが出来てキャーキャー言われてるのも面白くなさそうで。
優李を差し置いて…みたいな。
別に俺に恋愛感情が有るわけでもないのに、コイツ等異様に俺に過保護なんだよなぁ…
勇人オジさんの先生の息子さんなんだし、俺や冬馬とは仲の良い先輩なんだから仲良くやろうよ。っつってんだけどなぁ…
「まだ色々決まってないから、ハッキリするまで今まで通りを貫くんじゃない?
元々仲良い先輩だし俺は全然良いけど。
と言うか、そもそも陽太先輩が俺と学校で絡みたく無いっていう原因が、稔達が怖いからっつって前から言ってるじゃん?
稔達こそ、陽太先輩に対しての当たり、もうちょっと優しくしてやってよ…さっきも視線が喧嘩売り過ぎだって…」
「……それはまぁ……ごめん」
とは言うんだけどなぁー…
何か常に上からなんだよなぁ…特に輝希と稔。
お坊ちゃま甘やかされ過ぎた?
輝希なんか特にお母さん人気女優で、小さい時から現場一緒に行っては業界人にもちやほやされてたから、尚更キツい。
どっちも親がのほほんとした感じの良い人達だから、輝希と稔がなんでこんなキツい性格してるんだか不思議でしょうがない。
けど…
…俺のせいかもなー…
昔から何かに付けて俺の事護ろうとしてくれちゃってたから…一緒に居過ぎたのが悪かったのかもしれない。
徳永邸に帰宅すると、連絡が行っていたようで直ぐに輝希の母さんと稔の母さんがエントランスまで出迎えに来てくれたんだけど、俺と稔だけだったので2人共「あれ?」と首を傾げた。
「おかえりなさい。あれ〜?陽太くんはー?」
「ただいま」
「来てくんなかったー」
「えーっ!会いたかったのに!」
「残念…稔が喧嘩売って怖がらせたんでしょ?」
「違ぇし!」
「まぁ…やっぱ連れて来るのは無理かなぁと思う。陽太先輩がって言うより、俺等が悪いよね…
もっと身内以外に対して高圧的な態度無くしてフレンドリーにいかないと…」
「本当それ、うちの息子が一番あれだわ…」
輝希の母さんが溜息混じりに苦笑する。
『アイツはそれこそあのまま大人になったら地獄落ちるからね。女遊び酷いし』
ナツさんがそう言ったら、輝希の母さんが更に深い溜息を吐いた。
輝希の母さん、実は陽太先輩とかと逆パターンの元契約者…
元は男で、ナツさんのお仲間と契約して女性になった人なんだって。
お陰で神様の事とかちょっと知ってるらしいのと、ナツさんの存在も知ってて話が出来る人でもある。
輝希の母さんにとっては本当に胃の痛い話で…
と言うか、実はとっても偉い神様な冬馬的にも、幼馴染みのお兄さんが地獄に落ちる可能性が現状有るのは困ってる。
取り敢えず女遊びだけでも止めさせられないかって。
陽太先輩は連れて来れなかったって事で、取り敢えず着替えにそれぞれ自室に戻ったら、輝希の母さんも俺にくっ付いて来た。
「なに?ナツ居るの、珍しいじゃん?」
「陽太先輩が、これなら連れてっていいってw」
「なるw
つか、陽太くんがナツに似てるんでしょ?クソイケメンじゃんwwウケるww」
『メタボじゃないから』
「本当だなww」
最初のコメントを投稿しよう!