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「あのさー、まだどう転ぶか分からないから、取り敢えずハルオジさん達には黙っててほしいんだけど…陽太先輩、自分が芸能界入りすんの知らないんだって」
「えっ?」
「ナツさんが陽太先輩のフリして勝手に返事したらしいんだよ…」
「え…ええっ!?うそ!?駄目なやつじゃん!!」
「そう。でも取り敢えず仕事はナツさんが陽太先輩の体使ってするらしいし、既に仕事もハルオジさんが取ってきちゃってるから、一旦デビューだけはして…陽太先輩が辞めたがったら、オバさんも陽太先輩護ってやって」
「…なんつー……分かったけど…
おまっ…本当外道だな…」
流石に輝希の母さんもナツさんにドン引き。ナツさんは素知らぬ顔してるけど。
「あ、そう言えば、JewelMagicのデビュー曲のMV、今日先行配信開始してたよ」
輝希の母さんがふと思い出した様に話題を変えた。
「マジか。見とこ〜」
「カッコ良かった。とても平均年齢13歳だとは思えない完成度」
「怖っwまぁ分かるけど…
本当どんどん有望な新人出てくるから勘弁してほしいよねー…」
「分っかるー…w」
「陽太先輩…つか、ナツさんも、デビューしたら俺のライバルだからね?
一緒に仕事出来るのは素直に嬉しいけど、手放しで喜べはしないっていう…w」
「しょうがない、そういう世界だから」
特に完全に二世タレントな括りになる俺には結構キツい話。
輝希の母さんが部屋を出てってから、ナツさんと一緒にJewelMagicというダンスボーカルグループのMVを観る。
下は小5〜上は中3までの男子5人のグループで、うちの事務所の後輩でもある。
5年くらい前にガールズグループをハルオジさんプロデュースでデビューさせて、その2年後に姉妹グループをデビューさせ、どちらも今や国内外で活躍する超人気アイドルになってる。
ジュエマはその弟分らしい。
メンバーは全員ハルオジさんがスカウトしてきた精鋭揃いで、元々子役として活動してた子も数名。
歌もダンスも上手くて芝居も出来て且つ全員将来有望なイケメンという、俺にとってめちゃくちゃ恐ろしい後輩。
同じ事務所で仲良くしてるし、稽古見たりした事有るから知ってはいたけど、本当にとても平均年齢13歳とは思えないくらいカッコ良かった。
声変わりしてる中3、中2のメンバーをメインボーカルに持ってきてるから、数年後全員声変わりしても違和感無く歌い続けられるようになってるのか…
7月からスタートのドラマで俺主演なんだけど、俺の弟役にジュエマのメンバー、小6の斎川成弥(さいかわ せいや)がキャスティングされてる。
コイツ有名な劇団で5歳の時からバリバリに演技してた子役だから、初共演だけど怖ぇよー…
『格好いいよねコイツ等。ガキのクセに…』
「プッwガキのクセにw」
『斎川と共演だっけ?』
「そう。どう思う?成弥」
『これはイケメンに育つ』
「…うんwそれは分かるけどさ?」
『真みたいな色気が有る』
「……あ〜……俺には?w」
『優李より色気有る。既に』
「既に…wやっべーなー…頑張ろ…」
マジで俺、血縁の恩恵受けられただけのルックスと芝居しか取り柄ないから。
相手小学生とは言え、後輩に負けてらんねぇ…!
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