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しかも、あの世の入口?って、随分…
高校生の学生寮…みたいな感じなんだなぁ?
あ、で…
「私これからどうすればいいんでしょうか?この後三途の川を渡る感じですか?」
「はぁ????はぁ???えっ??お前大丈夫???」
「や…大丈夫じゃなかったから此処に居るんですよね?
て言うか、あの世に来ると男に性転換するものなんですね?体付きもしっかりしてるし、声まで低くて…
冥途の道は険しいと言いますもんね…体が男じゃないと耐えられないって事ですか」
「ちょっ…ちょちょちょちょっ!お前本当に大丈夫!?なんの話??しっかりしろ?どういう事?寝惚けてる??熱は??…熱は無ぇな?
冥途?性転換するって何だよ?陽太元々男だろ??」
高校生の男の子の姿の道先案内人?が焦った様子で私の腕を掴んでそう言った。
「ひなた…?うちの実家の店の名前は日向屋(ひなたや)ですが、別に店に性別なんて有りませんよw面白い事言いますね?w」
「いや!面白いのお前だって!どーした??
えっ?ちょ、マジでヤバくね?ちょお待って、誰か呼ぼう!」
「は?」
道先案内人が更に焦った様子で机の上に有ったスマホを手に取って、「絢斗(あやと)」という方に
「陽太が調子悪そうでせん妄なのか頭可笑しくなったからちょっと来て!」
と言っていて、直後に
「おい!陽太大丈夫か!?」
と、更に知らない男の子が2人、部屋?に入って来て私に詰め寄ってきた。
…あれ…これ……違うかも…
「あ…あの…なんか……違…間違え…た…?」
「間違えた??」
「……は!?なにこれっ!?ごめん!!」
なんだか此処に居ちゃいけない気がして、咄嗟に男の子達をかわして部屋?を出てみたら、有ったのは随分長い廊下。
その廊下にチラホラ居る、更に知らない高校生くらいの男の子達。
どこっ!?ここ!!?何!?どういう事!!?
流石にあの世がこんな男子校の寮みたいな場所じゃないだろうって事くらい理解したし、ついさっき車に轢かれた筈なのに、どこも怪我なんかしてない!
しかもどう考えても、この私は男だ!
全く知らない場所で、全く知ってる人も居なくて、脳内大混乱しながら、なんとか建物の外に出た。
外の景色も、やっぱり見覚えの全く無い全然知らない場所。
だけど、門の所に見知った人を漸く見付けて、即座にそちらに駆け寄り、思わず掴み掛かってしまった。
「さっ…桜井さんっ!!?桜井さん!!!」
「陽菜ちゃんか?」
「っ!!そうですっ!!!」
私が知ってる、私の事を知ってる人が居てくれた!!!
「私トレーニング行く途中に交差点で車に轢かれた筈!!気付いたら此処に居て!ぜっ全然知らない高校生の男の子が私の事「陽太」って呼んでて…!!なんですかこれっ!!?どうなってるの!?」
「落ち着いて陽菜ちゃん、ここでそんな騒ぎ方するのマズい」
『ぅっわ〜…急に冬馬様と桜井の式が来たから何かと思った……知り合いだったのか…』
すっかりパニックになってしまっていたら、またあの男性の声が聞こえた。
トウマ様?誰?
そもそも、この声の主が誰!?
周りを見渡してみても、ここに居るのは私と桜井さんと、その横に小学校高学年くらいの男の子だけで、声の主らしき人が見当たらない。
「お父さん、流石にここで話続けるのはマズくない?」
キョロキョロしてしまっていたら、不意に男の子が冷静な様子でそう言った。
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