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……ん?あれっ?陽菜ちゃん、男になったらナツそっくりだなっ!」
「えっ!わー!本当だ!そっくり!」
『男になったら僕に似そうな奴探した』
「敢えてかwww」
『敢えて』
恐る恐る聞いたら、桜井さんが改めて私に視線を向けて驚いた声を上げ、冬馬くんも今更の様に私の顔を覗いて驚いていた。
取り敢えずあの男性の声の主はナツという名前で、男の姿の私はそのナツという人に似ているらしい。
彼等は私そっちのけで話を進めた。
『それで目付けてたらさ、いきなり事故で死にそうになるんだもん。焦ったよね…魂が分離される前に契約出来て良かったよ…』
「それでこうなったのかw凄いタイミングだったな!陽菜ちゃんをあの世に送り届けようと思って病院行ったら居ないからビックリしたよww」
「あの世っ!?」
「ナツさんの記憶操作術めちゃくちゃ凄いです!」
『いえ、俺は歴が長いだけで…冬馬様もこのくらい直ぐ出来るようになりますよ』
「いや〜、このレベルはなかなか…」
桜井さんが笑いながらとんでも無い事を言い出したので、驚いて声を上げてしまったのに、皆さんスルースキル高過ぎて、私の驚き完全無視。
何談笑してんの!?
「待って待って!!あの世って何ですか!?私桜井さんにあの世送りにされるところだったんですかっ!?」
私が声を張り上げたら、漸く桜井さんが私の言葉に反応してくれた。
「え、違うwごめん、凄い語弊があるw
ごめんな?陽菜ちゃん本当は事故で死ぬ筈だったんだよ。
それは分かってたから、スムーズに天国に行けるように送り届けてあげたかったんだけど…
必要無くなったな。良かったよ」
やっぱり…事故はやっぱりあって、私は本当に死ぬところだったんだ…
けどなんでそれを桜井さんが知ってた?
「ここはパラレルワールドなわけじゃなくて、今まで陽菜ちゃんが生活してきたのと同じ世界の延長線の世界だけど、陽菜ちゃんは死なずにこの声の主のナツって奴と契約して、16歳の男の子になったんだよ。
しかもただ男になったわけじゃなくて、陽菜ちゃんは元々男だったって事にみんなの記憶の中でそうなってる。記憶操作っていうのを、陽菜ちゃんが男になったのと同時にナツがしたんだ。
ご両親も、陽菜ちゃんの事を生まれた時から男だったって思ってる。
女だった時の陽菜ちゃんの事を知ってるのは、ナツと、俺と息子の冬馬と、清蘭の理事長だけだと思う」
『そう。あとうちの上司』
「ああ、そうだな」
「上司?」
「上司。ナツは恋愛の神の使い魔で、上司っていうのはその恋愛の神の事だよ」
「神様…!」
幽霊かと思ったら神様!!…の、使い魔さん!
神様なんて本当に存在するんだ?
だけど確かに私は今男になっていて、これがパラレルワールドじゃないとするなら、確かに神様の力が働いた?と思った方が……自然?
いや、大分不自然だけど。
しかも16歳に私だけが戻ってる?
9年若返った事になるけど、確かに桜井さんは私が知ってたままのアラフォー男性で、若返った様子は無いし…
色々頭で状況を整理しながら話を聞いていたら、ナツさんが更に驚く事を言い出した。
『ついでだから教えとくけど、神っていうのも色々居て、その神の中で特に偉いのが、全てを創り出した創造の神と、空間を管理する空間の神、時間を管理する時間の神。
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