はじまり

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『と言うか、もう完全に外見男だから、「私」って言うの止めてくれない?俺、若しくは僕で』 「あ…あ、じゃあ、俺…? …と言うかわた…あ、俺、そう言えば、今の自分の姿、ちゃんと見てないんですよ…」 「あ、そうなんだ?」 「あのね、双子みたいにナツさんにそっくりで凄いイケメンですよ!」 「あ…さっきもそう言えばそんな事を…あの…でも、俺、ナツさんがそもそも視えないので…」 わ…じゃない、俺、霊感皆無だし、そもそもナツさんは幽霊とは違うみたいだし… 「あっ、そっか」 「この部屋鏡が無いからな…」 「鏡持ってくる?あ、スマホのカメラは?」 「ん?そうだな、スマホでいいか」 「あ…それもそうですね」 そう言えばジーパンの後ろポケットにスマホっぽいの入ってる感じが… 出してみたらやっぱり元々自分が使ってたスマホそのままだったので、なんとなくホッとしながら、カメラを起動して漸く今の自分を見てみたら… 「ファッ!?何これイケメンっ!!」 「うん、凄いイケメンですよ〜」 「契約者は必ず、両親との血の繋がりを疑われない範囲で最もイケメンな状態にカスタマイズされるんだとさ。 ナツは顔が陽太くんそっくりだけど、長髪なんだよな。陽太くんは髪短いけど」 「へー!そうなんですね!…ナツさんもこんな顔してるのかぁ…」 えー、ナツさん凄いイケメンじゃん! そして私めっちゃイケメンじゃん! 桜井さん180cmちょっと有りそうで、今の私はそれと殆ど目線の高さが同じだから… わ〜、凄くいい感じの長身イケメン! この顔は確かに一人称“俺”だね。うん。 うっかり私って言っちゃわないように気を付けないと… 「取り敢えずそんな感じなんだけど、何か質問は有る?」 「あっ!俺、寮生活するんですか?」 『そう』 「いつ引っ越した事になってるんでしょう?1年生から通ってる事になってますか?部屋に居た子と、後から部屋に来た2人は誰?」 『2日前に寮に入った転校生。実家は変わらず前のままで。前は実家近くの高校に通ってた事になってる。 転校先は清蘭高等学校』 「清蘭!!凄い進学校ですけどっ!大丈夫ですか!?私大学一応それなりの所行ったけど、スポーツ推薦なんで学力ほぼウンコですよ!?」 『大丈夫。契約者は秀才補正もされるから、勉強一切しなくてもいい成績がとれるようになってる』 「マジでっ!?」 『で、ごめん。本当に今回の契約タイミングは、大分予想外で下準備がちゃんと出来てないまま急いで色々やっちゃったんだよね… 後から部屋に入って来た奴の事は寮に帰ってから改めて確認して教える。僕も誰だか分からない』 「マジか…ナツともあろう奴が…w」 『や、だって、死にかけるとか本気で予想外… そもそも、前年度ずーっと、契約したら僕に似そうな奴探し続けてて、漸く陽太を見付けたの自体がかなり最近だったんだよ… だから何もかも下準備が甘かった』 「成程wだからかw」 『うん。取り敢えず、同室の奴は松尾豊(まつお ゆたか)。豊って呼んでる事になってるから宜しく』 「あ、はい。…あ、そう言えば、部屋に来た2人のどっちかは「あやと」でしたね…」 『あ〜うん。記憶操作がどう作用してるかも含めてちょっと確認する。 あと、フォローしきれなくて完全に頭可笑しい奴反応しちゃったのは無かった事にしとくから、寮の周りの道覚える為に散歩行って帰ってきたって事にして』 「あ…分かりました」 確かに…あの俺の頓珍漢な話のまま部屋戻るの気不味過ぎ…
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