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好きな奴がいる。
かれこれ28年くらい、同じ人間に片想いしている。
そして全く両想いになれる見込みは無いし、成就する事も諦めてる。
僕の好きな奴には、僕がそいつを好きな気持ちと同じレベルな程好きな恋人が居る。
2人は、その恋人と引き離されるくらいなら、何もかも失っても構わないと思ってる程強い絆で結ばれている。
そんな人間に28年も片想いしてるとか、頭可笑しいんじゃないかと、自分でも思う。
ある時そんな僕の事を好きだとか言う、物好きな奴が現れた。
僕が好きな人間に似てるからと、赤ん坊の時からそいつを可愛がり過ぎたのが悪かったかもしれない。
そいつは年を重ねる毎に、更に好きな奴に似ていった。
そして変わらず僕の事を好きだと言う。
しかも本命になれなくてもいい。代わりだと思ってもらっていいとか。
本当に物好きな奴。
真(まこと)の代わりなんて居ない。
居なくていい。
顔だけが好きだから、真の事を28年間も好きだったわけじゃ無い。
…憐れな奴。
憐れだから、少しくらいなら相手をしてやらない事も無い。
『いい加減しつこいから、ちょっとくらいなら遊んでやる。
けど、真の代わりなんて要らない。真以外に本気になる事なんて有り得ない。
って事に了承するなら』
「勿論。全然それでいい」
『…本当物好きな奴。
人間が幽霊みたいなのと遊んでたって味気無いだろうから?
適当に僕に似た人間捕まえて来るくらいはしてやる。ソイツの体を操って、僕が飽きるまでの期間限定だから』
「成程?
じゃあその気紛れに遊んでくれてる間に、俺がナツさんの事落とせば良いわけだ」
散々見慣れた、僕の相棒だった頃の真にそっくりな顔で、優李は悪戯っぽく笑った。
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