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3.きみは素敵なものでできてる
自分と同じ女性の体だというのに、彼女は随分柔らかいのだと、永野ふゆは恋人を抱きしめる度に思う。その恋人である真砂になに言わせれば、
「私のむちふわボディに目を付けるなんて、お目が高いね?」
ということだ。永野の目からすると真砂は決して太っているわけではないけれど、つくべきところに肉がついているように感じた。
「にな、スタイルいいの、いいなあ」
「ふゆちゃんだって、痩せてるし脚も長いじゃない」
「ガリガリなだけだよ」
元々やせ形なのだが、ここ数年は仕事の激務が祟ってさらに肉が落ちた気がする。特に胸とか。
「……私は、ふゆちゃんの棒みたいな手足、好き」
真砂は身を起こすと、永野に抱きついてゆっくりと馬乗りに押し倒した。
「どこ触ってもすべすべで好き。ちょっと冷え性で冷たい先端が好き。控えめだけど柔らかい胸も好きだよ」
すりすりと足同士を擦り合わされるのがくすぐったい。永野は思わず笑ってしまう。
「でもね、ふゆちゃんの体が好きだから。体、大事にして欲しいんだあ。仕事しすぎないで、よく食べて、よく寝てね?」
「……本当、にな、お母さんみたいだね」
「お母さんだったら、ぽっちゃりしたふゆちゃんを想像してムラムラしないと思うけどな」
「む、ムラムラしてんの……?」
「うん」
真砂はふわりと表情を崩して、瞳だけを欲望に輝かせて言った。
「ね、もっと触っていい……? 触るね?」
優しいけれど有無を言わせない口調が、永野は無性に愛おしい。そして触れてくる真砂の指先は、今咲いた花のように美しいと思った。
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