停電したら天井を見上げて

10/10
前へ
/10ページ
次へ
「なかなか無いだろう。こうして一緒に寝る機会なんて」 「まあ……」 すると、ジェダが私の頬に触れたかと思うと、こう呟いた。 「おやすみ。コト」 「おやすみ……」 返事をしたところで、私はハッと閃く。 (今なら謝れるかも) 「あのね、さっきは……」 私が口を開いた時、ジェダの頭の上に小雪が乗ってきた。 ジェダは「ゔっ!」と苦しそうな声を上げたのだった。 そんなジェダに、私はつい声を上げて笑ってしまったのだった。 「もう、小雪ってば……」 私は起き上がると、ジェダの顔の上から小雪を引き剥がす。小雪は私達の間から布団の中に入ると、そのまま丸くなったのだった。 「大丈夫。それより何だっけ?」 「さっきは、その……突き飛ばしてごめん」 ジェダは一瞬戸惑ったようだったが、すぐに首を振った。 「さっき? ああ、あれはあまり気にしてないから……」 どこか歯切れの悪いジェダの言葉に、ますます不安になる。 「でも……」 「じゃあ、一緒に寝てくれたら許してあげる。もっとこっちにおいで」 そろそろとジェダに近づくと、すぐに抱き締められる。 「やっぱり、コトは甘い香りがするね」 「もうっ!」 すると、私達に挟まれて苦しくなったのか、小雪が布団の中で鳴いた。 「いたっ!」 小雪に引っ掻かれたのか、ジェダは小さく悲鳴を上げて、私はまた笑ってしまった。 そんな私達の声は、軽快な音楽と混ざり合って、室内に響き渡ったのだった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加