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突然の壁ドンで硬直状態に陥っていた私だったが、ようやく解けるとジェダの肩を押し退けてなんとか逃れる。
「は、早く、お風呂に入りなよ! 本当に風邪を引くから!」
そのままジェダを置いてリビングに戻ると、パソコンの前に座る。
スリープモードに切り替わっていたパソコンの画面には、赤面した私の顔が映っていた。
(恋人になってからのジェダ、距離近くない!? 今までの反動とか!?)
スリープモードを解除しようと、ノートパソコンに手を伸ばした時、白い毛の生えた猫が滑り込んできた。
「小雪……」
私とジェダの愛猫である白猫の小雪は、丸々とした大きな身体をノートパソコンの上で丸めると、そのまま寛ぎ出した。
「小雪、避けてくれないと続きが書けないでしょう?」
小雪は元々野良猫だったが、私が暇潰しに相手をしている内に、いつの間にか家に居座るようになり、更に小雪の後にやって来て、私と同棲をすることになったジェダが可愛がる内に、すっかり家猫と化した我が家の愛猫だった。
今や野良猫だった頃の警戒心や人嫌いを失った小雪は、ところ構わず甘えてきて、特に猫用のお菓子をくれるジェダには完全に懐いていた。
「もう……」
今もジェダが帰宅して嬉しいのだろうーー私と二人きりの時は、滅多に姿を見せないのに。
そう思うことにして、私はパソコンを諦めて、テーブルの上に広げていた本やノートを集めた。
小雪が溢さない内に、マグカップに残っていたココアを飲み切ったところで、ようやくジェダがリビングに顔を出したのだった。
「もしかして、邪魔しちゃった?」
「だ、大丈夫! 小雪が来たから止めたところ!」
「そっか……。小雪、邪魔じゃない? 部屋に連れて行こうか?」
「こっちは大丈夫! ジェダはお風呂に入りなよ!」
「わかった……」
どこか落ち込んだ様子を見せながら、ジェダは荷物を置きに自室に入ると、すぐに着替えを持って洗面所に消えて行った。
姿が見えなくなったところで、ようやく息を吐く。
「はあ。緊張した……」
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