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ジェダから故郷の話を聞く度に、やはり彼は私が住んでいる世界とは、異なる世界からやって来たのだと実感してしまう。
そんな彼が、この世界と私を選んでくれたことが嬉しくて、早く彼の想いに報いたいと思っている。
それなのに、私は恥ずかしがってばかりいて、全然答えていなかった。
(ジェダがお風呂から出たら、さっきのことを謝らないとーー)
その時、家の近くで車のブレーキ音が聞こえてきたかと思うと、激しい衝突音と共に地面が大きく揺れた。
「え? 地震!?」
小雪が唸るように鳴いて、どこかに去った瞬間、電気が消えて辺りが暗くなった。
「て、停電!?」
エアコンも消えたのか室内は静かになり、どこか薄ら寒かった。
「ど、どうしよう!? 停電なんて、一人暮らししてから初めてだし……!」
すっかりパニックになって、手当たり次第に触っていると、固いものに手をぶつけ、その弾みでテーブルの上の本が崩れた。音を立てて床に落ちたのだった。
「いった!」
「コト!」
廊下からジェダの声が聞こえてくる。もう風呂から出たのだろうか。
「大丈夫?」
「大丈夫だよ、だいじょ……」
「フニャァァ!」
その時、廊下から獣の鳴き声と共に「いたっ!」とジェダの小さな悲鳴が聞こえてきた。
「ジェダ!? どうしたの!?」
ジェダの元に行きたいが、夜目が効かない中では移動するのも困難だった。
テーブルと思しき縁を掴みながら歩くが、足が何かを踏みつけて、足元が滑ってしまった。
私は転びそうになるが、顔を濡れた温かい何かにぶつけてしまう。
「いった〜!」
「コト!?」
鼻を押さえていると、真上から声が聞こえてくる。
その濡れた何かに触れながら、上を見上げた。
「もしかして、ジェダ? お風呂に入っていたんじゃ……」
「シャワーを浴びてたら、急に出なくなったんだ。浴室や廊下の電気も点かないし……何かあった?」
「多分、停電したんだと思う。私も初めてで……それよりどこか怪我したの?」
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