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四十二歳を迎えて、人生の幕が開いた心持ちだった。
長年サラリーマンを続けながら夜な夜な書いていた自分の小説が、ようやく本になった。
去年とった新人賞。そこそこの注目はされたようで、スタートラインに立ったばかりだというのに、すでにランナーズハイの気分だった。
本屋にわずかに並んだ拙作を確認し満足すると、私は外へ出た。
そもそも家から出てきたのは、新作のアイデアがまとまらないからだった。
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