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暗転
暗闇の中、俺の意識は少しずつ、その形を取り戻しつつあった。
意識が闇に閉ざされた底知れぬ井戸の中を延々と落ち続ける、そんな感覚だった。
闇の中を落ち続けるにつれ、今までの記憶が少しずつ削ぎ取られていく、そんな心持ちだった。
恰も薄皮が剥がれ落ちるかのように、少しずつ、少しずつ記憶を失いながら。
俺の意識は延々と暗闇の井戸の中を落ち続ける。
落下は唐突に止まり、そして、俺は何処かに辿り着いた。
何処だろう、ここは。
何時だろう、この時は。
そう、ここは、あの日のバザールの片隅だ。
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