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現在・その1
燦然と輝く太陽は、細やかな鏃の如き陽の光、そして、怒気を帯びたかのような凶暴な熱とを一切の容赦も無く地上へと投げ掛けていた。
熱気を孕んだ微風に運ばれるかのように、寺院からと思しき祈りの声が響いてくる。
哀感を含んだかのような切々たるその響き、それらはまるで今の私の心境を映しているかのようだった。
ここは砂漠のオアシス近くに位置する街。
西の国々とを繋ぐ交易路の中継点でもあるこの街は、盗賊などから守りを固めるための城壁で四方を囲われている。
城壁に囲まれた市街地は、繁栄と賑わいとに満たされていた。
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