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 私たち同室の四人が集まるのは高校を出てから初めてだ。私たちが卒業した女子高校にはあの頃、寮があった。全寮制ではなかったが、希望すれば入れた。家が居心地が悪かったこともあって私は通学に不便を理由に寮に入った。同室の三人もそれぞれに理由があっての寮生活で、三年間、時に仲良く、時にけんかもする、よく言えば、姉妹のようだった。  二十年余りの間に同じ場所にいた私たちは今は別々の場所でそれぞれの生活をしている。女子高校だった母校は私たちが卒業後、まもなく男女共学となり、寮は部活の合宿に使われていたそうだ。  老朽化のため取り壊すことが決まり、寮生だった卒業生に宿泊可能な日を提示したハガキが届いたのだという。それを受け取れた真奈(まな)が私たちを誘ったのだった。言い出しっぺの彼女が校門前で手を振っている。 「久しぶりナミミ、元気だった?」  真奈は私を高校時代と同じ呼び方をした。南美(なみ)だからナミミ、そう呼んだ真奈はマナナだった。だが、私はあえてそう呼ばずに名前で呼ぼうと決めていた。恥ずかしいような気がしたからだった。 「まあね。真奈はあまり変わってなくて、びっくり」 「近づくと、そこは同い年、ぼろが出るけど、ありがと」
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