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 寮を出ることになった頃の私の記憶が何故か飛び飛びで、何か大切なことを忘れたままのような気がしていた。それではいけないと心のどこかで思っていたから、真奈の誘いに乗ってこんなところまで来た。寮があの頃と同じでないにしてもこの場所に来たことで、ぼんやりとしたものがクリアになるきっかけになるかもしれない……。  私の箸が止まっていたらしく、他に気をとられていることに気づいた真奈が訊いた。 「ねえ、ナミミ。覚えている? 私たちが繋がっていること」 「しりとりができること?」 「そうそう。南美(なみ)実莉(みり)璃麻(りま)真奈(まな)。誰から始めてもぐるり四角形(スクエア)」 「四角形(テトラ)……」  何かが引っかかる。確かにテトラだったけれど……。 「南美、全然食べてない。飲んでないし。私が食べちゃうよ」 「ああ、うん」  璃麻が私の分をとる真似をしてみんなを笑わせている。  卒業してから、四人が顔を合せるのは初めてだったけれど、揃って食事をとりながら違和感を感じるのは何故なのか。私だけが蚊帳の外にいるような感じ、夕方の四時に待ち合わせというのも聞いた時、変な気はした。最初から泊まるつもりで、三人が打ち合わせ済みだとしたら?
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