流れ星(物理)

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流れ星(物理)

 最寄駅から家までの道を歩く。  信号待ちで空を見上げたら、星がさっきよりも輝いていた。  田舎だからかなと、ひときわ大きな星を見ていたら、その星がどんどん私に近づいてくるような気がした。  信号が青に変わる。  白線に片足を乗せた瞬間、目の前が光って、私は情けない音を立てて尻もちをついた。 「美潮さん、こんばんは」  絵本の中から飛び出してきたような黄色い星頭に、手を差し出される。  ありがたく掴まって立ち上がっておきながら、思わず声を立てて笑ってしまった。本物の星は青かったぞ。 「心外ですね。あなたの願いを叶えに来たというのに」 「ああ、すみません。……願いってまさか」  勢いで叫んだJK代表の本音が、頭の中でこだまする。 「そうです。今から何もしなくても1週間過ごせる場所に、あなたを連れていきましょう」 「え、やったー」  こういうとき果凛だったら、のこのこ付いて行くなんてことしないんだろうな。  でも、こいつは明らかに一般的な不審者とは違うし、引退試合まであと2週間もあるから、最悪1週間怪しい場所にいたって大丈夫だろう。  短絡的な判断だけで、目がどこについているのかわからない星頭に向かって微笑みかけた。
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