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「眩しい。あれ、美潮!?」
「果凛!」
懐かしい声がするベッドへと駆け寄った。足の筋肉は悲鳴を上げている。
「生きてる。生きてるね」
ガーゼや包帯で覆われた果凛の顔を見たら、体中の力が抜けて病室の床にしゃがみ込んでしまった。
「ねえ、何があったの?」
「それはこっちのセリフだって。美潮」
いろいろ聞きたいのはお互い様だ。
果凛は手足の筋肉が痙攣している私を見やって、先に話し始めた。
「私はただの交通事故だから。塾からの帰り道に疲れてぼーっとしてたら、車が突っ込んできて」
初めて意識飛んじゃったと果凛はおどけて笑う。
「本当に無理しないで」
「うん。勉強しなくていい口実になったから適度にサボるね」
果凛がベッドの上で伸びをする。腕を上げるときに顔を歪めたから心配になった。
「さて、次は美潮の番じゃない?何日も学校来ないで何してたの?」
「……マジで長い話だけど、聞く?」
「じゃあ23時の病室に突然現れたところから詳しく」
「うわ、今23時なんだ」
親に怒られることが確定したけれど、そんなことよりこの珍妙な体験を信じてくれそうな人に話したかった。
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