不審な若者

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テイクアウトが普通になったこの時代に産まれたことに感謝している。 食事は配達をしてもらい、やり取りはチェーン越しに行っている。 そのおかげで、今となっては見事なコミュニケーション障害者だ。 今日も自分の腹を満たすために、携帯電話をいじり適当に某有名チェーン店のハンバーガーを頼んだ。酒とともに。 * ピンポーン 壊れかけたこいつは、不協和音を鳴らす。 「あ、きた」 そう言って、俺はまたごみの山を蹴飛ばし玄関を目指す。 俺はドアの鍵を開けチェーンだけを残した状態で扉を開けた。 「おまたせしました!配達館でーす!」 「……ありがとうございます。」 「いえいえ、お代は743円になります。」 俺はピッタリ743円を渡そうとした。 が、小銭を渡そうとした俺の拳は握りしめられていたのだ。 俺はびっくりしすぎて、「っほぇ?」 と、変な声を出すことしかできなかった。 すると、彼は恐ろしいことを口にした。 「やっと見つけましたよ。雲雀先生」 目を見開き、見上げると、 帽子をかぶった彼はドアの隙間から怖いぐらい微笑んでいた。  
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