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さっきの騒動から3時間
流石に帰ってるだろう。あたりはもう既に暗くなっており、現在9時をまわっている。
昼間は居心地の良い暖かさだが、まだ春になったばかりだろう。夜は冷える。
俺は帰っただろう、帰っただろうと、思っていたが、だんだんと不安になってきていた。
(…絶対いない)
そう思いつつも、腰は上がって、足は自然に玄関の方へ向かっていた。
(確認することないだろ、いないんだから)
俺は玄関の鍵をあけて、なんとなくチェーンも外して、扉を押していた。
扉の前には誰もいなかった。
(ほら、やっぱりいない)
そう、ため息をつき
俺がドアを閉めようとしたところ
「くしゅっ…はぁっ」
すぐ隣からくしゃみの音が聞こえた。
「!なんでいるの」
「…あっ、先生。言ったじゃないですか、待ってるって。」
見ると、彼は直接床に体育座りをして待っていた。
「そんな、…もう3時間も」
「先生と話せるなら何時間でも待っていられます」
ニコニコ微笑んでいる彼だったが、よくみると耳は真っ赤で、若干震える自分の身体を両手でさすっていた。
俺は咄嗟に罪悪感に苛まれた。
と、同時にこんなことをする彼に無自覚だか興味を持っていたのだ。
「…入って、寒いでしょ、」
「!いいんですか!」
「…ゴミ溜めだけど」
「気にしません!お邪魔させていただきます」
俺は初めてこの部屋に他人を入れることになった。
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