さいごの私

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 ここはさいごに至る場所。最期よりもあとのさいご。誰にもこの先はないさいご。  地獄なんてものはない。天国なんてものはない。生前のそれがどんな思想を持っていたとしてもここにたどり着く。そうして私はそれに声をかける。おやすみ、と。ものによってはそれに気付かないことだってある。多分死に方によってはずっとそれを繰り返しているのだろうなというものだっている。けれど私のところまでたどり着けばそれで終わり。終わったことに気付かないものだっているのだろう。  私は別に一体じゃない。けれど私は一つだから、結局は絶えずそれを言い続けているのと同じ。けれどそれは全てあちらにとってはただ一回のこと。だからおろそかにするわけにはいかないこと。ただの一つも同じものはない。  私がそれを言うことで、永の眠りが訪れるのだから。  私がいつからこれをやっているのかはわからない。私は一つだけれど一体ではないから、違う私がいる。違う私は私のことをよくわからないと評することもある。大体私の方が少数派にあたるようだけれど、それでも私は一つだから特に意味のないことかもしれない。けれどそう考えながらも、こうとらえることが少数派の部分なのだろう。  私はただおやすみと言う。ただ全てのものに安らかなる眠りが訪れるように言葉をかける存在。
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