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「どうしたんだよ?出ないのか?」
「あ、ええとね、まさか雨が降ると思わなかったから傘を持ってきてなかったの」
「折りたたみ傘は?」
「こんな日に限ってカバンに入れていなくて、しょうがないから雨が止むまで待っている。夕立ならすぐ止むかもしれないし」
女子生徒の言葉を聞いて男子生徒はしばらく色々と考えて、少し照れながら言葉を発します。
「なあ、小池……そのさ……良かったら……俺の……折りたたみ傘……使って帰れよ……」
「え、ええ⁉……ダメだよ、そんなことしちゃあ、山下君がずぶ濡れになっちゃうわ」
「俺は平気だ、グワーーー!って走って一気に帰るからよ」
「……、じゃ、じゃあさこうしない?確か少し歩くけど、学校の近くにコンビニあるし、そこでビニール傘買うから、そこまでその折りたたみで一緒に行ってくれない?」
小池さんの思わぬ提案に戸惑った山下君は思わず尋ね返してしまいます。
「ええ⁉っていうか、いいのか小池!そのさ、何ていうか……」
「あ、それ以上言わないで、今自分で言っててものすごく恥ずかしいから、でも思ったより長く降りそうだし、もう行きましょう」
「あ、ああ……」
小池さんに押し切られる形で、山下君は傘を開き、2人で入ってコンビニまで歩いていきました。
歩いている途中で山下君が何かに気付き。小池さんに声をかけます。
「小池、濡れちまうぞ。傘をしっかりかぶんねえと」
「ダメだよ、これ山下君の傘なんだから、私の為に山下君が濡れちゃダメ」
そう言って何とかコンビニまでたどり着きました。
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