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「それは、この茶和ちゃんは悩みを持っている人や強く何かを願っている人にだけ見える猫らしいんですよ。ねっ、茶和ちゃん」
真理子さんの腕の中で頭を撫でられ気持ち良さそうに目を細めていた茶和ちゃんが、真理子さんの腕からぴょーんと飛び降りた。
「わたしは人生に迷いがあり何かを強く願っている人の願望を叶える力を持った猫のあやかしですにゃん。きっと、夏海ちゃんには強く願っている何かがあるはずですにゃん」
そう言って茶和ちゃんはニコッと笑った。
今さらりと猫のあやかしと言ったよね。そして笑っている。
「わっ! 茶和ちゃんってあやかしなの? わたしの願いを叶えてくれるの?」
「どうやらそうみたいですにゃん」
そう言った茶和ちゃんは瞬きもせずその大きな黄色の目でじっとわたしを見つめた。わたしもその引き込まれそうな大きな黄色の目をじっと見つめ返した。
この子はわたしの気持ちが分かっているのだろうか。
「わたしはこの島を出る前の十五歳から人生をやり直したい。もう一度あの頃に戻りたいよ」
そうそれが人生の選択を間違え後悔してきたわたしの心からの願いなのだ。
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