二十三歳の夏海(2)

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ビジネスホテルに泊まった翌朝、わたしはスーツケースを転がしバスに乗車した。それからフェリーに乗船し故郷の島に帰ってきた。 フェリーから下船すると懐かしい故郷の匂いがした。それと同時にお腹が空いていることに気がついた。 「お腹が空いたよ~」 わたしは思わず声に出してしまった。 辛いことがあってもわたしのお腹は正直で先程からグーグーとお腹が鳴る。 早く実家に帰ってお母さんかおばぁの料理が食べたいな。それかお父さんの作るゴーヤチャンプルーでもいいな。 そんなことを考えながらわたしはサトウキビ畑に囲まれた道を歩いた。 その時、鼻腔をくすぐる煮物の良い香りがふわふわと漂ってきた。 わたしはこの煮物の香りもなんだか懐かしいなと感じたのだった。 気がつくとわたしは煮物の良い香りに誘われた。
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