平成二十五年中学生の夏(十五歳の夏海)

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「あら、夏海ちゃん出かけるの?」 おばぁが居間からひょっこりと出てきた。手にはサーターアンダギーを盛った籠を持っている。 「うん!」 「そうかいな、おばぁはサーターアンダギーをたくさん作ったよ。揚げたてだから美味しいと思うさね」 サーターアンダギーを一個手に取り口に運びにっこり笑うおばぁ。 「サーターアンダギー美味しそうだね。郵便ポストにオーディションの書類を出しに行くだけだからすぐに帰ってくるよ」 わたしは、ぎゅっと握っていたオーディションの書類をおばぁに見せた。 おばぁはきょとんとして目をパチクリさせた。それから笑顔になり、 「夏海ちゃん、オーディションを受けるんだね」と言ってにっこりと笑った。 「うん、おばぁチャレンジしてみるよ。人生やってみなきゃ分からないもんね」 「そうさね、夏海ちゃん、おばぁはいつでも夏海ちゃんを応援しているよ。頑張るんだよ」 おばぁはにっこり笑い顔をしわくちゃにした。 「うん、ありがとう。いってきま~す」
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