53人が本棚に入れています
本棚に追加
「おばぁ~おばぁ~」
わたしは、手紙をぎゅっと握りしめドタバタと階段を下りた。
「ねえ、おばぁ~おばぁ~」
「夏海ちゃん、そんなに何回も呼ばなくても聞こえているよ。おばぁの耳はまだ遠くないさね」
おばぁは襖を開け部屋から出てきた。
「聞いてよ~おばぁ~大変だよ」
「うん? どうしたんだい?」
「わたし、オーディションの一次審査に受かったんだよ!」
「えっ! 夏海ちゃん、オーディションに合格したんだね。おめでとう~」
おばぁは顔をしわくちゃにして喜んだ。かなり興奮しているようだ。
「おばぁ~まだ一次審査に通過しただけだよ~」
「うん? 一次審査かいな。でも夏海ちゃんなら合格間違いなしさね。おばぁの可愛い孫だからさね」
「ありがとう。でも受かるか分からないよ」
わたしは、ニコニコ笑うおばぁの顔をじっと見て言った。
「夏海ちゃん、自分に自信を持つんだよ。そしたら明るく前向きになれるはずさね。笑顔に花が咲くよ」
おばぁはニカッと笑いわたしの肩をぽんぽんと叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!