平成二十五年中学生の夏(十五歳の夏海)

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「おばぁ~おばぁ~」 わたしは、手紙をぎゅっと握りしめドタバタと階段を下りた。 「ねえ、おばぁ~おばぁ~」 「夏海ちゃん、そんなに何回も呼ばなくても聞こえているよ。おばぁの耳はまだ遠くないさね」 おばぁは襖を開け部屋から出てきた。 「聞いてよ~おばぁ~大変だよ」 「うん? どうしたんだい?」 「わたし、オーディションの一次審査に受かったんだよ!」 「えっ! 夏海ちゃん、オーディションに合格したんだね。おめでとう~」 おばぁは顔をしわくちゃにして喜んだ。かなり興奮しているようだ。 「おばぁ~まだ一次審査に通過しただけだよ~」 「うん? 一次審査かいな。でも夏海ちゃんなら合格間違いなしさね。おばぁの可愛い孫だからさね」 「ありがとう。でも受かるか分からないよ」 わたしは、ニコニコ笑うおばぁの顔をじっと見て言った。 「夏海ちゃん、自分に自信を持つんだよ。そしたら明るく前向きになれるはずさね。笑顔に花が咲くよ」 おばぁはニカッと笑いわたしの肩をぽんぽんと叩いた。
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