平成二十五年中学生の夏(十五歳の夏海)

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「真美ちゃ~ん、海助く~ん! 聞いてよ~聞いて」 わたしは嬉しくてぴょんぴょん飛び跳ねながら二人の元に駆け寄った。 夏真っ盛りの沖縄の空は青くて海の色とよく似ていて綺麗だ。 「夏海ちゃんってば興奮してどうしたの?」 「良いことでもあったのかい?」 「うん、そうなんだよ。わたし、オーディションの一次審査に受かったんだよ~」 わたしが封筒を二人にジャーンと見せると、真美ちゃんと海助君は一瞬ぽかんとしてから、 「夏海ちゃん! やったね~やったね~」 「凄いぞ~夏海ちゃ~ん」 とほぼ同時に言って喜んでくれた。 「ありがとう。わたしもびっくりしたよ」 ちらりと頭の中に今朝の嫌な夢が浮かぶけれど気にしないでいよう。わたしは自分を信じて前を向いて生きよう。 そう考えるとこの青い空のようにキラキラ輝く笑顔になれた。
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