平成二十五年の夏(中身は二十三歳の夏海)

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この日の夕飯は家族全員揃って食べた。 「うん、ビールが旨いな」 お父さんはビールを飲み上機嫌だ。 「お父さん、ビールばかり飲まないでご飯を食べてよ」 お母さんが眉間に皺を寄せぷんすかと文句を言っている。 「あははっ、いいじゃないか。ビールめちゃくちゃ旨いぞ。あ、でも島らっきょうも旨いな」 お父さんはにっこりと笑いながら島らっきょうを食べた。 「沖縄のおでんも美味しいよ」 おばぁは口を大きく開けてテビチ(豚足)を食べた。 そんな家族の何気ない会話を聞いていると幸せだなと感じた。 わたしも大きく口を開けてテビチを食べた。骨付き肉なので食べられるところは少ないけれど身はトロトロしていて柔らかくて美味しい。沖縄の懐かしい味がした。 「わたし、大人になったら民宿を継ぎたいな」 わたしは、家族の顔と美味しい沖縄料理を食べていると民宿を継ぎたいなと思い呟いた。
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