平成二十五年の夏(中身は二十三歳の夏海)

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「なんと夏海ちゃん、それは頼もしいな」 お父さんはビールを飲みながら嬉しそうに笑っている。 「うん、わたしお父さんの一生懸命に働いている姿が好きだもん」 「そうか、そうか。なんだか照れるな。でもお父さんはそう言ってもらえると嬉しいな」 ビールで赤くなった顔をより赤くしたお父さんは、沖縄のおでんの大根を食べた。 お父さんの表情は笑顔から真面目な顔になり、 「だけど夏海ちゃんゆっくりと考えるんだぞ。夏海ちゃんの人生だからさね。大人になるのはまだ先だからね。今は、高校受験を頑張るんだぞ」 そう言ってお父さんはビールを飲んだ。 「うん、分かったよ。ゆっくり考えるね。受験勉強もしなくちゃね」 わたしはにっこりと笑いながら本当はビールも飲める中身は二十三歳の大人なんだけどねと、心の中で呟いた。
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