平成二十五年の夏(中身は二十三歳の夏海)

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それからのわたしは、机に向かい一生懸命受験勉強をした。それと時々ではあるけれど民宿の手伝いもした。 「夏海ちゃ~ん、遊ぼう~」 「夏海ちゃん、夏だよ~夏。勉強なんてしないで遊ぼうよ」 真美ちゃんと海助君は、わたしの家のチャイムをピンポーンピンポーンと何度も鳴らし遊びに誘う。 「わたしは勉強で忙しいんだよ~」 わたしは部屋の中から玄関に向かって叫んだ。 「勉強も大事だけど十五歳の夏は今しかないよ」 「そうだよ。十五歳の夏だよ~夏海ちゃん、遊ぼうぜ。夏の海が俺達を待っているぞ~」 二人はまるで小学生みたいなんだから呆れてしまう。わたしは、中学の勉強を頑張らなければ受験に落ちてしまいそうなんだから。 「海助君、十五歳の夏って言ってるけど誕生日が来てないから海助君は十四歳だよね~子供だね~」 わたしは、部屋の中から玄関に向かって大きな声で叫んだ。 「夏海ちゃんって意地悪だ~」 海助君の悔しそうに叫ぶ声が聞こえてくる。きっと顔を真っ赤にして猿のように怒っているんだろうなと想像がつく。
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