平成二十五年の夏(中身は二十三歳の夏海)

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わたしは玄関の前で遊ぼうと叫ぶ二人を無視して勉強をしていたのだけど、 「夏海ちゃ~ん、海が俺達を呼んでいるぞ~」 「夏海ちゃ~ん、海で飲むさんぴん茶は美味しいよ~」 二人の声があまりにもうるさくて勉強にならない。耳を塞いでも聞こえてくる。 「真美ちゃん、海助君うるさいよ!」 わたしは玄関の引き戸をガラガラと力強く開けた。 「あ、夏海ちゃんだ~良かった出てきてくれたね」 「さあ、海に行くぞ~」 真美ちゃんと海助君はビーチサンダルを履き浮き輪を抱え海のコーデではないか。 「……誰も海に行くとは言ってないんだけど……」 わたしの話に耳を貸さない二人は、「さあ、海に行こう」と言ってにっこりと笑うのだった。 そして、わたしは気づくと海の中で泳いでいるのであった。トホホと溜め息が出るけれど海遊びは楽しくてやめられない。
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