二十三歳の夏海(3)過去と未来が交わる

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二十三歳の夏海(3)過去と未来が交わる

わたしは懐かしい故郷を歩く。赤瓦の屋根とサンゴの石垣の民家が昔から変わっていなくて嬉しくなる。 ブーゲンビリアが風に揺れている。時の流れがゆったりとしていて東京の殺伐とした雰囲気とはまるで違う。 わたしはゆっくりゆったりと歩く。すると懐かしい小学校と中学校が見えてきた。 この小学校と中学校にわたしは九年間通った。真美ちゃんと海助君とふざけながら学校まで通ったあの日がキラキラとよみがえる。 無邪気だったあの頃が懐かしくて涙が出そうになる。 わたしは人生をどこで間違えたのだろうか。そんなことを考えながら小中学校の校舎を眺めた。 あの頃のわたしが校庭を元気に走っているんじゃないかな。なんて、そんな空想をしてみた。
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