二十三歳の夏海(3)過去と未来が交わる

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今は夏休みで校庭には誰もいない。 「よし、入ってみよう」 関係者以外立ち入り禁止と書いてあるけれど気にしない。 わたしは、校門をゆっくりとくぐった。すると懐かしい風がさーっと吹きわたしの髪を靡かせた。 ふふっ、懐かしいな。この校庭を真美ちゃんと海助君と走り回った。 小学生の時なんて悩みなんて殆んどなかったな。だけど、中学生になる頃から悩み事が多くなってきた。 それも今となっては懐かしい思い出なんだけれど……。 そう懐かしい思い出なんだけれど……。わたしは中学三年生のあの夏、迷って迷いまくりながら人生の大きな選択をした。 その選択が今のわたしにとっては……。 そんなことを考えながら鉄棒にぶら下がっていると。 女の子がこちらに向かって歩いてきた。
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