二十三歳の夏海(3)過去と未来が交わる

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その女の子は高い位置でツインテールにしている。目が大きくて可愛らしい女の子だった。 「お姉さん、鉄棒にぶら下がって楽しいですか?」 その女の子は鉄棒にぶら下がっているわたしの目の前で立ち止まり聞いてきた。 「あ、えっと、楽しいかな……」 そう答えるのと同時にわたしはびっくりして息を呑んだ。 「お姉さん、顔色が悪いですけど大丈夫ですか? 熱中症とかではありませんよね」 その女の子は心配そうにわたしの顔をじっと見つめた。 「……あ、うん、大丈夫なんだけど……あなたは?」 「わたしがどうかしましたか?」 女の子は不思議そうに首を傾げわたしを見る。 この女の子……。 わたしのよく知っている女の子だ。 だって、この女の子は。 わたしなんだもん。 「わ、わたしだよ~」 わたしは、大きな声で叫んだ。 「お姉さん、どうかしましたか?」 どうしたもこうしたもないよ。どういうことなの?
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