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「ねえ、あなたは夏海?」
わたしはキョトンとしている女の子の顔をまっすぐ見つめて聞いた。
「お姉さん、夏海って呼びすてにしないでくださいよ」
「あ、ごめんね。あなたは夏海ちゃんかな?」
わたしはそう聞いたけれど、この女の子は絶対にわたしだと思う。
「そうですよ。風海夏海ですよ。どうしてわたしのことを知っているの? お姉さんは誰ですか?」
やっぱりこの女の子は中学時代のわたしなんだ。信じられないけれどわたしなんだ。
わたしと同じ目をした夏海がわたしをじっと見つめている。だけど今のわたしの濁った目とは違いキラキラと輝いている。
そんな目でまっすぐ見つめられると……。
眩しすぎてクラクラしてしまう。
「わたしも風海夏海だよ」
「……風海夏海? あ、同姓同名……ですよね」
夏海は一瞬びっくりした表情になりそれから納得したようにポンッと手を打った。
「ううん、わたしは夏海ちゃんの未来の姿だと思うよ」
わたしは、自分で言ったその言葉にドキドキした。
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