二十三歳の夏海(3)過去と未来が交わる

9/56
前へ
/192ページ
次へ
夏海は頬をぷくりと膨らませわたしを見ている。 「証拠はね。夏海ちゃんの家は民宿風海を経営している。今の夏海ちゃんは中学三年生だよね。好きな食べ物はマンゴープリンとおばぁが作ってくれるサーターアンダギーだよね?」 わたしは、夏海の顔をじっと見てニヤリと笑った。 「えっ! どうして知っているんですか?」 夏海は目を見開いている。きっとびっくりしたのだろう。 「それはわたしが夏海ちゃんだからだよ」 わたしは腰に手を当て、フフンと自信満々に笑って見せた。 「……夏海さん調べたんですね? 確かに家は民宿風海を経営してますよ。わたしは中学三年生ですよ。マンゴープリンも好きだしおばぁのサーターアンダギーも好きだけど当てずっぽうでしょ?」 夏海は腰に手を当ててふんと鼻で笑った。 なんだかちょっと憎たらしい。 「当てずっぽうじゃないよ。他にもいろいろ知っているんだからね」 「ふーん、何をですか?」 「それはね」
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加