プロローグ

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「美味しいですか?」 わたしはニコニコ笑顔の女性に半ば無理やりこのカフェ食堂に連れてこられたのだけど、ここの沖縄料理は美味しかった。 腹ぺこのわたしはガツガツと煮付けを食べた。 この三枚肉に厚揚げ、こんにゃく、大根、人参、じゃがいもどれもこれも美味しい。沖縄の煮付けは豚肉が入っていてダシも豚肉の出汁なのだ。 久しぶりに沖縄の煮付けを食べると懐かしくて涙がこぼれそうになった。 「美味しいです」 わたしは夢中になり山盛りのご飯もガツガツと食べた。美味しくて懐かしくてどんどん箸が進む。お腹が満たされて幸せな気持ちになった。 「それは良かったです」 わたしは女性の声に顔を上げた。 「お腹がいっぱいになりました。美味しい料理を作って頂きありがとうございます」 わたしはお客ではあるけれど美味しくて空腹が満たされたのでお礼を言った。 「えへへ、ありがとうございます。でもこの料理を作ったのはわたしじゃないんですよ」 「え? なんだ、違ったんですか?」 「はい、あそこにいるみどりちゃんが作りました」 女性はそう言ってカウンターの奥で食器を拭いている女性を指差した。 みどりちゃんと呼ばれた女性はわたしの顔を見て会釈した。
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