プロローグ

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真理子さんはじっとわたしの顔を見つめ続けている。そんなに食い入るように見つめられると女同士でもドキドキしちゃうじゃない。 でも一体どうしたと言うのだろうか。 わたしの足元には可愛らしい茶トラ猫がいる。そして、この茶トラ猫もまたわたしの顔を眺めていた。なんだって言うのよ。 「み、みどりちゃん大変だよ~」 真理子さんがカウンターの奥で食器を拭いているみどりさんに言った。 「真理子、うるさいね! どうしたのよ」 みどりさんは拭いていた食器を置きこちらに向かって歩いてきた。 「見えているんだよ。みどりちゃん」 「え! 見えているって……まさか、嘘でしょ?」 みどりさんもそう言ってわたしの顔をまじまじと見つめた。 二人してわたしの顔を不思議そうに見つめてくるのだから怖いよ。いやいや二人プラス一匹がわたしの顔を食い入るように見つめているではないか。 なんだか怖いよ。 「夏海さん、あなたの願いをこの茶和(ちゃわ)ちゃんが叶えてくれますよ」 「はい? 茶和ちゃんですか?」 真理子さんは一体何を言っているのだろうか。 わたしが首を傾げると、真理子さんは茶トラの猫を抱っこしたかと思うと、「この子が茶和ちゃんです」と言ってにっこりと微笑んだ。
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