勤、マンションを建てる

1/1
前へ
/9ページ
次へ

勤、マンションを建てる

夢の中とはいえ、住む家は必要だな。借りるのは面倒だからバイトリーダーの力で家を出現させるか。 「家が建てれるような余ってる土地はないか?」 「いえ、無いです」 ギルド内を見回す勤。 ボロいな。 「このギルド、俺が建て替えたら半分俺の家にしていいか?」 「「へ?」」   「オール電化のマンションにしてやるから、1階はギルド、2階は倉庫にしろ。3階から5階までは好きに使え」 「あの、マンションとは?」 「おーるでんかって?」 「言葉は不要。見れば分かる何事も」 「流石は兄貴。深い言葉です。メモしときます」 「いでよ、オール電化の10階建てマンション。エレベーター付き」 ビカッ! 「「「うわっ! 眩しい!」」」 光がおさまり目が見えるようになると、ギルド内が変わっていた。 「これが、おーるでんかのマンション?」 「大手ギルドより立派ね」 「兄貴、半端ねえです」 「まあな」 「姉さん、外から見ようよ」 「あ、そうね」 「俺も見たい」 ぞろぞろと外に出ようとするネマルとネトリとマカロン。 ガー 「わっ!」     「きゃっ!」 「え? 扉が勝手に開いた……」  「ドラゴンでも壊せない自動ドアだ」 「「「はい?」」」 「超強化ガラス。世界でも俺しか壊せん。このマンションもな」 「「「へー」」」 外へ出て建物を見る3人。 「「大きい!」」 「兄貴、こんな高い建物、首都くらいにしか無いです」 「俺にしたら小さなもんだ」 高さ100メートルとかのビルを知ってるしな。 「あの、私の部屋は?」 「あ、そうだ。私達はギルドに住んでたんです」 「ん? 母親が住んでる家は?」 「父とは実質的に離婚なので、別の小猫族の男を連れ込んでます」   「毎日、(さか)ってます」 「なるほど。毎晩、盛りのついた母親は見たくないな」 「「はい」」 「なら、3階と4階に住め」 「「ありがとうございます」」 「俺も住みたいです」 何でお前もなんだよ、おっさん。 「マカロン、どこに住んでるんだ?」 「野宿してます」 おいおい。 「ネマルとネトリが許可するならな」 「お願いします!」 土下座するマカロン。  そこまでして住みたいのか? 「「えー」」 「兄貴の1番弟子なんですよ、俺は。近くに住んでないと兄貴が困ります。兄貴からも頼んでください」 いや、困らんし。いつ俺はおっさんを1番弟子にした? まあ、退屈はしないかもな。うるさいけど。 「そこまで言うなら、6階に住め。マカロンは絶対に6階にしか行けない専用エレベーターを追加する。それならネマルとネトリも安心だし気を使わないだろ」 「まあ、それなら」 「いいかな」   「でも、兄貴は猫好き。ネマルとネトリを夜這いとか」 「「ええ! 怖い!」」 誰が猫を夜這いするかよ! 「マカロン、俺を信用できないのか?」 「あ、いえ、す、すみません!」 「ネマル、ネトリ。俺は世界最強だぞ。世界一の人族美女も思いのまま。小猫族なんか興味もない」 「「えー。少しガッカリ」」   どっちだよ! ・・・・・ 「3階から6階までは各階同じ間取りだからな。6階のマカロンの部屋で設備の説明をする」 「「「はい」」」 「このスイッチを押すと部屋が明るくなる」 「「「へえー」」」 「もう一度押すと暗くなる」   「「「へえー」」」 「返事はするな。分からないときだけ質問しろ。分かったら、うなずけ」 うなずく3人。 「LEDだから10年間は壊れない。壊れたら言え」 「えるいでい?」 「このランプみたいな物だ」 「分かりました」 そんな感じで部屋の設備を説明した勤。 「設備の説明はこんな所だ。住んでいて困った事があれば、ここのボタンを押せ。アンドロイドが説明に行く」 「あんどろいど?」 「長いからアンでいい」 「あん?」 「入ってこい。アン」 「はい」 部屋の外に女性型お手伝いアンドロイドを出現させたのだ。 「兄貴、この女性は?」 「人族ではない。機械だ」 「へ?」 「キカイダー?」  「奇怪だ?」 「超高性能からくり人形だな。エッチな事はできないぞ。マカロン」 「え? いや、そんな……少し期待しましたけど。あっ」 「「おっさん」」 「いや……すまん」 「困った事はアンに聞け」 「「「はい」」」 「勤務時間以外で俺に用がある時はアンに言え。俺がどこにいても連絡はつく」 「「「はい」」」 「ところで、俺の勤務時間は?」 「えっと……ギルドの勤務時間って決まって無いような。姉さんが代表だし、決めてよ」 「うん。そうですね……ホームセンター様の好きな時に、ギルドにいてくれたら良いです」 「それで良いのか?」 「ギルドにもアンさんを呼ぶボタンをつけてもらえば、仕事を依頼したい時にホームセンター様が不在なら、ボタンを押しますから」 「分かった」 さて、俺は10階の部屋でのんびりするか。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加