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勤、マンションを建てる
夢の中とはいえ、住む家は必要だな。借りるのは面倒だからバイトリーダーの力で家を出現させるか。
「家が建てれるような余ってる土地はないか?」
「いえ、無いです」
ギルド内を見回す勤。
ボロいな。
「このギルド、俺が建て替えたら半分俺の家にしていいか?」
「「へ?」」
「オール電化のマンションにしてやるから、1階はギルド、2階は倉庫にしろ。3階から5階までは好きに使え」
「あの、マンションとは?」
「おーるでんかって?」
「言葉は不要。見れば分かる何事も」
「流石は兄貴。深い言葉です。メモしときます」
「いでよ、オール電化の10階建てマンション。エレベーター付き」
ビカッ!
「「「うわっ! 眩しい!」」」
光がおさまり目が見えるようになると、ギルド内が変わっていた。
「これが、おーるでんかのマンション?」
「大手ギルドより立派ね」
「兄貴、半端ねえです」
「まあな」
「姉さん、外から見ようよ」
「あ、そうね」
「俺も見たい」
ぞろぞろと外に出ようとするネマルとネトリとマカロン。
ガー
「わっ!」
「きゃっ!」
「え? 扉が勝手に開いた……」
「ドラゴンでも壊せない自動ドアだ」
「「「はい?」」」
「超強化ガラス。世界でも俺しか壊せん。このマンションもな」
「「「へー」」」
外へ出て建物を見る3人。
「「大きい!」」
「兄貴、こんな高い建物、首都くらいにしか無いです」
「俺にしたら小さなもんだ」
高さ100メートルとかのビルを知ってるしな。
「あの、私の部屋は?」
「あ、そうだ。私達はギルドに住んでたんです」
「ん? 母親が住んでる家は?」
「父とは実質的に離婚なので、別の小猫族の男を連れ込んでます」
「毎日、盛ってます」
「なるほど。毎晩、盛りのついた母親は見たくないな」
「「はい」」
「なら、3階と4階に住め」
「「ありがとうございます」」
「俺も住みたいです」
何でお前もなんだよ、おっさん。
「マカロン、どこに住んでるんだ?」
「野宿してます」
おいおい。
「ネマルとネトリが許可するならな」
「お願いします!」
土下座するマカロン。
そこまでして住みたいのか?
「「えー」」
「兄貴の1番弟子なんですよ、俺は。近くに住んでないと兄貴が困ります。兄貴からも頼んでください」
いや、困らんし。いつ俺はおっさんを1番弟子にした?
まあ、退屈はしないかもな。うるさいけど。
「そこまで言うなら、6階に住め。マカロンは絶対に6階にしか行けない専用エレベーターを追加する。それならネマルとネトリも安心だし気を使わないだろ」
「まあ、それなら」
「いいかな」
「でも、兄貴は猫好き。ネマルとネトリを夜這いとか」
「「ええ! 怖い!」」
誰が猫を夜這いするかよ!
「マカロン、俺を信用できないのか?」
「あ、いえ、す、すみません!」
「ネマル、ネトリ。俺は世界最強だぞ。世界一の人族美女も思いのまま。小猫族なんか興味もない」
「「えー。少しガッカリ」」
どっちだよ!
・・・・・
「3階から6階までは各階同じ間取りだからな。6階のマカロンの部屋で設備の説明をする」
「「「はい」」」
「このスイッチを押すと部屋が明るくなる」
「「「へえー」」」
「もう一度押すと暗くなる」
「「「へえー」」」
「返事はするな。分からないときだけ質問しろ。分かったら、うなずけ」
うなずく3人。
「LEDだから10年間は壊れない。壊れたら言え」
「えるいでい?」
「このランプみたいな物だ」
「分かりました」
そんな感じで部屋の設備を説明した勤。
「設備の説明はこんな所だ。住んでいて困った事があれば、ここのボタンを押せ。アンドロイドが説明に行く」
「あんどろいど?」
「長いからアンでいい」
「あん?」
「入ってこい。アン」
「はい」
部屋の外に女性型お手伝いアンドロイドを出現させたのだ。
「兄貴、この女性は?」
「人族ではない。機械だ」
「へ?」
「キカイダー?」
「奇怪だ?」
「超高性能からくり人形だな。エッチな事はできないぞ。マカロン」
「え? いや、そんな……少し期待しましたけど。あっ」
「「おっさん」」
「いや……すまん」
「困った事はアンに聞け」
「「「はい」」」
「勤務時間以外で俺に用がある時はアンに言え。俺がどこにいても連絡はつく」
「「「はい」」」
「ところで、俺の勤務時間は?」
「えっと……ギルドの勤務時間って決まって無いような。姉さんが代表だし、決めてよ」
「うん。そうですね……ホームセンター様の好きな時に、ギルドにいてくれたら良いです」
「それで良いのか?」
「ギルドにもアンさんを呼ぶボタンをつけてもらえば、仕事を依頼したい時にホームセンター様が不在なら、ボタンを押しますから」
「分かった」
さて、俺は10階の部屋でのんびりするか。
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