かみなり

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かみなり

1 私は彼女が夜に終わるまでじっと息を呑んで待っていた。 「良かったよ。」彼女がポツリと言った。 「蒼咲さんこれすごいい作品だよ。主人公が友だちができて喜ぶところとかすごい共感できた。」 よかった。これでもし酷評でもされたら一生癒えない傷になるよ。 「ねぇ今度行崎さんの物語見せて。書いているよね。物語」 2 雷が鳴り出した。私は小さな頃、雷にまつわる童話だ。どんな内容だったかは覚えていない。けどとても怖かったことを覚えている。 「「キャー」」 悲鳴が鳴り響いた。私と行崎さんの2人だ。 「かみなり、怖いの?」 「そっちこそ」 なんだかおかしくなって笑ってしまった。 3 運がいいことに図書室は雷があまり聞こえない。 だから2発目以降は多少落ち着いて話ができた。 「さっきの話なんだけど。ミステリなのにファンタジーも入っていて面白かった。図書室に秘密の扉があったりして。でも人が死なないのがいいね。」 「うん人が死なないように気をつけたんだ。気を抜くと人が死んだりしてるし。」 「確かにわかる。だから私ミステリ苦手なんだ。」 「そうなんだ。もう帰るね。」 そう気づけば夕立はやんでいた。
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