7.最後のキス

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7.最後のキス

 シートを元に戻すと、ほんの二センチほど四枚の窓ガラスを開けた状態で、颯樹がエンジンを掛けた。  まだ、ふたりとも下半身は裸のままだ。  颯樹がどこへ行こうとしているか、わかった。僕もまた同じ場所へ行きたいと思ったから。  うなじに手が滑り込み引き寄せられて、唇が重なった。  颯樹との最初で最後のキスだった。  サイドブレーキを引いた状態で、颯樹がアクセルを踏んでエンジンをふかした。  拘束を解かれていた僕は颯樹の手に手を重ねた。  颯樹がゆっくりとサイドブレーキをおろすと、車は全速力で雨とともに海に向かってダイブした。 ――了――
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