高鳴る鼓動

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――― あれから一週間が経って久しぶりに五人全員がスタジオに揃った。俺は何となく皆と顔を合わせるのが気まずかったが、思い切って足を踏み入れた。 「あ、仲本君!遅いよ、もう!遅刻ギリギリ。」 晋太が俺を見つけるなり、いつもの明るい声を出す。俺はそれに内心ホッとしながら辻村の姿を探した。ソファーに座って楽譜と睨めっこしている辻村は集中していて俺の事には気づいていない。 「仲本君、こっちこっち。」 晋太が俺の手を取り、無理矢理自分の隣の椅子に座らせる。この間の事がふと頭を過ったが大人しく椅子に収まった。 「お前早いなぁ、珍しく。」 「珍しくって何よ、珍しくって。僕だって早起きくらい出来るんですぅ~」 「あ~、そうですか。それは悪うございましたね。」 晋太と漫才みたいなやり取りをしながら目の端で辻村を捉える。俺らのうるさい声にも構わずに一心不乱に楽譜に目を走らせていた。 家で散々練習してきただろうに真面目だなぁ。ボーッとそんな事を思いながら辻村を見つめていた。 「……ん?何だ、仲本来てたのか。つぅか、俺の顔に何かついてる?」 「へっ!?い、いや……何でもねぇよ。」 「何だよ……変な奴。」 辻村が小さく溜め息をついて再び楽譜に視線を落とす。俺は何故かバクバク跳ねている心臓を抑えるのに必死だった。 「どうしたの?大丈夫?」 晋太の問いかけにも答える事が出来なかった。 .
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