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一番最初に異変を感じたのは、辻村に彼女が出来たというのを聞かされた時だった。俺が一人で控え室にいたところに息急き切って飛び込んできたマネージャーから、辻村に彼女がいてそれが一部のマスコミに漏れた、という話を聞いた時。冗談じゃなく目が飛び出しそうになった。
椅子を蹴る勢いで立ち上がってマネージャーに詰め寄った。
「どういう事だよ!」
「だから辻村さんに彼女がっ……」
「んな事わかってんだよ!あいつに彼女がいるなんて初めて聞いたぞ。しかもそれがマスコミに漏れた?ふざけんじゃねぇ!」
思わず掴みかかる。マネージャーは後ずさりながら、滅多に怒らない俺に驚いているようだった。
「……全員集めろ。」
「は……?」
「メンバー全員集めろっつってんだよ!」
「は、はい!」
マネージャーは飛び上がるように背筋を伸ばすとそのまま出ていった。
「……はぁ~……」
一人になった部屋で溜め息をつく。ついさっきまで座っていた椅子に逆戻りすると、頭を抱えた。
「くそっ……!」
何に対して怒っているのか、その時の俺は何もわかっていなかった。
――そう、これから俺達がどうなっていくのか。俺には何もわからなかった……
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