突きつけられた現実

4/4
前へ
/87ページ
次へ
――― 「仲本君はどう思う?」 「何が。」 「辻村君が言ってる事。」 晋太がそう言って俺を鋭い目で見てくる。その迫力に言葉が詰まった俺は、浩輔に助けを求めた。視線が合うと浩輔はいつものふにゃっとした顔で笑った。その顔を見た俺は一度頷くと口を開いた。 「俺がどうこう言える事じゃない。このまま付き合うんならそうすればいいし、別れる事になるならそれまでだったって事だろ。」 そうきっぱり言い切った俺に聞こえたのは、辻村の深い溜め息だった。 「仲本の言う通りだよな。今日帰ったらまずは彼女に謝るよ。皆、ありがとう。話聞いてくれて。……じゃもうすぐレコーディングだから。お前らも早く準備しろよ。」 そう元気のない声で言うとそそくさと控え室を出ていった。 「僕らも行こうか。仲本君も早く来てね。」 「あぁ……」 裕を先頭に三人が出ていく。俺はそれをボーッと眺めていた。 だから晋太が心配そうな顔で俺を見ていた事には気づけなかった。 この時から俺達はゆっくりと、そして確実に壊れ始めた……そう、確実に…… .
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加