19人が本棚に入れています
本棚に追加
―――
「仲本君はどう思う?」
「何が。」
「辻村君が言ってる事。」
晋太がそう言って俺を鋭い目で見てくる。その迫力に言葉が詰まった俺は、浩輔に助けを求めた。視線が合うと浩輔はいつものふにゃっとした顔で笑った。その顔を見た俺は一度頷くと口を開いた。
「俺がどうこう言える事じゃない。このまま付き合うんならそうすればいいし、別れる事になるならそれまでだったって事だろ。」
そうきっぱり言い切った俺に聞こえたのは、辻村の深い溜め息だった。
「仲本の言う通りだよな。今日帰ったらまずは彼女に謝るよ。皆、ありがとう。話聞いてくれて。……じゃもうすぐレコーディングだから。お前らも早く準備しろよ。」
そう元気のない声で言うとそそくさと控え室を出ていった。
「僕らも行こうか。仲本君も早く来てね。」
「あぁ……」
裕を先頭に三人が出ていく。俺はそれをボーッと眺めていた。
だから晋太が心配そうな顔で俺を見ていた事には気づけなかった。
この時から俺達はゆっくりと、そして確実に壊れ始めた……そう、確実に……
.
最初のコメントを投稿しよう!