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昨日訪れた店は職場から歩いて15分ほどのところにある。
買うのを躊躇ったグラスを、休憩時間に買いにいこうか、どうしようか。
仕事の合間にそんな思考をチラつかせてしまうことに罪悪感を覚えながら、常連客のカットを始めようとした時だった。
目に飛び込んできたものに、理宇ははっと息をのんだ。
「っ……これ!」
「うっお!? 村瀬くん、なに!? どした?」
唐突に叫んで身を乗り出した理宇に、顔なじみの男性客はのけぞって驚いた。
「すみません、これが気になって」
理宇は男性の手の中にある、電子書籍閲覧用のタブレットを指差す。
「あー、これ? テレビとかでもやってて超人気だよね。俺もすごい気になってる」
心臓がドキドキしていた。とにかくこれだと感じて、迷いが晴れたような気がした。
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