第6話

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「あ、らた……?」  途切れ途切れでどうにか名前を呼ぶと、新ははっとしたように目を大きく開いた。  頬に触れていた指先が、そのまま耳へ移動して、髪を掻き上げる動きで離れていく。 「髪、ちゃんと拭いてないだろ。びしょびしょ」 「え、あ……ごめん。床、濡らしたかも」  新の指摘で我に返った理宇は、肩に掛けていたタオルで乱暴に髪を拭った。 「ドライヤーで乾かしてきたら? 濡れたままの髪は良くないって、理宇いつも言ってる」 「その通り。濡れたままだと髪にも頭皮にも良くないからな」  うん、うん。と大げさに頷き、一歩後ろに下がって新との間隔を広げた。 「じゃあ、ちょっと乾かしてくるわ。あ、晩飯は配達にしよっか。食べたいの考えといて」 「了解」  新が返事したのを確認して、理宇は洗面所へと向かったのだった。
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